心理療法の紹介
行動療法、認知再構成法、EMDR療法、
ブレインスポッティング療法、USPT統合療法、
ボディコネクトセラピー
行動療法
行動療法では、症状(不安・恐怖)や不適応な行動が身についてしまったら、それを効果的になくしたり、適応的な行動を身につけるために、カウンセラーが援助し、人が円滑で快適な社会生活を送れるようにすることを目標とします。社会生活とは、人と人の交流を言い、個人を取り巻く対人環境とのやり取りを言います。
行動療法は、適応的な習慣形成法とも言います。不適応習慣を改善し、適応行動、適応習慣を形成し、維持することを目指します。
不安症、強迫性障害、不登校、うつ病、書痙などの改善等にも広く適用されます。
認知再構成法
うつ症状や不安感に苦しむ人の心を軽くする認知再構成法という心理療法があります。
自分では気づかない考え方(認知)の癖を直し、症状につながる行動、気分(気持ち)、体調を改善する心理療法です。
考え方を100パーセントを訂正しなくてもいいのです。考え方を少し変え
るだけで、行動や、感情・気持ちの持ち方、身体の感じ方が楽になります。
日常生活における出来事に対する反応は、下の図のように、「考え(認知)」、「気持ち」、「体(体調)」、「行動」の4つに出ます。
カウンセリングを受けながら、コントロールできる「認知」や「行動」を修正し、気持ちや体への影響をプラスの方向に変えることを 目指します。
非合理的、悲観的な考え方、あるいは破局的な認知によって、悪循環が生まれ、そこから抜け出られなくなっている状態から、この悪循環を断ち切る方法です。
EMDR療法・ブレインスポッティング・USPT統合療法
上の3つの心理療法は、心と体をつなぐトラウマセラピーです。
EMDR療法
EMDRは、2013年、世界保健機構(WHO)が、患者への負担が最も少ない、心の傷の処理の方法であると、推奨しました。
また、DV、虐待、不適切な養育、不適切な教育、体罰、いじめ、性被害、事故、事件、自然災害、精神障害などによるトラウマの処理に有効であると推奨されています。
しかし、実際には、すべての人に、すぐに、EMDR療法が適用出来るわけではありません。
「耐性の窓」という条件があります。
自分の「耐性の窓」( Window of Tolerance)のパターン(ストレス耐性)を知る手がかりになるのが、愛着のタイプです。
心と体で安心感を持つことによって、愛着が安定するのです。
愛着とは、乳幼児期に作られた親と子どもの間に作られる絆です。
愛着は大きく4つのタイプがあります。
安定型ー波が真ん中を通っている。困ったことがあると、人に相談したり話したりして、ストレスに対応してストレス耐性が高い。
とらわれ方型ー波が窓の上のほうにあり、ストレスがかかると怒りが爆発する。
家族や友人と一緒にいても、安心したり、リラックスしたりという経験はあまりない。
回避型ー自律神経が窓の下のほうで上下し、ストレスがかかると落ち込みがち。
一人で自分の意思で行動するほうが気楽である。
無秩序型ー窓の幅が狭く、自律神経の波が窓を飛び出してしまう不安定感がある。
安心感とか、ほっとする感じは今まであまりなかった。
藤本昌樹先生の著書「こころの傷を消す音楽CDブック」から、部分的に引用しました。
テレビ番組よるEMDRの紹介
NHKのETV特集の番組「トラウマからの解放」(1時間番組)が2013年9,10月、合計4回、EMDRの心理療法について再放送されました。
瑞穂CBT相談室のブログの中に、etv特集の内容の一部を紹介しています。
2013年12月11日(水)、NHKの「クローズアップ現代」で「心とからだを救う トラウマ治療最前線」として、EMDRについて放送されました。
ブレンスポッティング療法 BSP
ブレンスポッティングは、EMDRに匹敵するトラウマ解消の心理療法です。
ブレンスポッティングは、EMDRから生まれた心理療法です。
ブレンスポッティングは、2003年デイヴィッド・グランツ博士によって、開発されました。
非常に効果的な心理療法で、情緒的な問題・身体的痛みや、トラウマ、解離などの神経生理学的な源の中心部分を特定し、処理し、解放するように働くものです。
短い時間で、非常に効果的に、また、クライエントに負担をかけないで処理をすることができます。
(日本ブレインスポッティング協会のホームページから引用)
鈴木孝信先生は、トラウマ処理と「耐性の窓」について、次のように述べています。
「BSPの臨床におけるトラウマ処理の前提として、BSPでは耐性内でのトラウマ記憶の情報処理をすることが重要とされ、
耐性の状態を見定めることに特別の注意を払う。
・・・セラピストの同調によりクライアントはその体験が耐性という枠組により管理される。」
精神神経学会雑誌 第122巻第10号 2020年10月25日から引用しました。
USPT療法
USPTは、解離性障害を持つ方に適用する心理療法です。
USPTは、小栗康平先生(東京 早稲田通りクリニック 院長)が開発された心理療法です。
カウンセラーがクライエントに丁寧なアプローチが出来るように、新谷宏伸先生(埼玉県の本庄児玉病院外来医長・USPT研究会理事長))は、公式トレーニングを開催しております。USPT統合法は、エゴステートセラピー(自我状態療法)ではありません。
トラウマにより、解離性障害を抱える方に、USPTの心理療法を適用しております。
内在性解離評価尺度
次の文を読んで、今のあなたの状態に最もよくあてはまるところに、○をつけてください。
a=よくある b=ときどきある c=少しある d=まったくない
項 目 | a | b | c | d |
---|---|---|---|---|
1. 記憶があいまいになる | ||||
2. 記憶がぬける | ||||
3. その場と関係のない感情、例えば、いらいらや不安などがわいてくる | ||||
4. ゆううつな気分である | ||||
5. 死にたいと思う | ||||
6. ばくぜんとした不安感がある | ||||
7. イライラ感がある | ||||
8. 自分を客観視している | ||||
9. 怒ったときには、その場の怒りだけでなく、過去の怒りまで同時に出てくる | ||||
10. 悲しい時には、その場の悲しみだけでなく、過去の悲しみまで同時に出てくる | ||||
11. 自問自答している | ||||
12. 脳内会議をしている | ||||
13. 決断が容易には出来ない | ||||
14. 自分の中に別の自分がいる感じがする | ||||
15. 自分に話しかける声がする | ||||
16. 過去にとらわれやすい | ||||
17. 状況によってモードの切りかわる | ||||
18. 苦しみ、悲しみは時間がいやすという感覚がない | ||||
19. 周りの世界が自分のいる世界とは距離がある感じがする (リアルではない) |
||||
20. 自分というもの(性格)がよくわからない |
記号 | a | b | c | d |
---|---|---|---|---|
点数 | 3 | 2 | 1 | 0 |
数 | ||||
小計 | ||||
合計 |
0〜10点 解離の可能性低い
11〜20点 解離の可能性がある
21〜30点 解離の可能性が高い
31〜40点 解離の可能性非常に高い
41点以上 多重人格の可能性が高い
「人格解離」 小栗康平(精神科医) 著 アールズ出版から引用
私は、USPTに関して、小栗康平先生のご指導を受けました。さらに2022年8月に新谷宏伸先生の公式トレーニングを受け、USPT統合法の理解を深めることができました。
編著 新谷宏伸 十寺智子 小栗康平
「USPT入門 解離性障害の新しい治療法」 星和書店
栗康平先生の著書は次の通りです。
「マイナスエネルギーを浄化する方法」、
「人格解離」 アールズ出版、
「症例X」 GB 。
ボディコネクトセラピー
ボディコネクトセラピーは従来から効果的であった心理療法のエッセンスに、全く新しい概念を加えて考え出した身体から働きかける心理療法(ソマティックサイコセラピー)です。トラウマは情報とエネルギーとして、脳だけでなく身体にも残されています。身体感覚(フェルトセンス)に注意を向けることで、脳と体をつなぎ、トラウマのエネルギーをペンデュレーション、タッピング、眼球運動、アファーメーション、タッチセラピーなどを用いて体から解放(discharge)していきます。その概念は一つ一つ科学の裏付けがなされています。 特徴は一つ一つのトラウマ記憶の処理にかかる時間が圧倒的に短いこと、活性化が出にくいこと、解離を起こしにくいように工夫されていることなどです。
上記の文は、Body Connect Therapy のホームページから引用